寝る前に読む本『ナルニア国物語』

子供が寝る前に本を読んでいます。

下の子が9才なので、あともう少しでこの作業も終わりです。一人目の時は、いつまで続くんだろうと苦痛で仕方がなかったのに終わると思うと、まだまだ読みたい気持ちになります。気持ちって不思議です。

読む本は、子供によってまちまち。

一番上は、同じ本を読むのが嫌で、次々新しい本を探さなくてはいけませんでした。流れていることが好きで、常になにかに興味をもっているこの子の性格を現わしていたなと今では思います。図書館に行って大量の本を借りていました。様々な児童書を知るきっかけにもなりました。そのおかげで図書館の人とも仲良しに。

真ん中の子は、『だれも知らない小さな国』というコロボックルシリーズが好きで、(これは私が子供の時買ってもらった大好きな本でした)最初から最後まで読むと、また最初と何回も繰り替えしていました。これと、猫の『イッパイアッテナ』シリーズ。

同じ話を繰り返し聞きたい。安定・安心が好きな真ん中の子の性格を考えるとぴったりでした。最初の頃は、また?!となっていましたが、読み返すたびに、新しい発見があり、同じ本を読み返すのもよいなと今では感じています。

なんでもOKの一番下は、いろんな本が必要だった一番上の子の本の恩恵にあずかっています。その中で、ナルニア国物語は、上の子たちの時も読んだのですが、文章が難しく、途中で挫折した経験がありました。ここにきて、初めての完読。しっかり中身もわかっており、理解力の高さを感じました。男女の違いもあるのかな?

読み終えて、黙読した時とは全く違った感覚を感じました。声を出して読むのに大変適した作りになっているのです。言葉が美しく、幼児でもないティーンでもない子供の心にぴったり合っているように感じました。まさに名訳のなせる業だとおもいます。ただ、それがゆえに、若干の古さが子供のとっかかりを難しくしています。上の子たちの時は、少し簡単な日本語にして読んだりもしたのですが、それでも、なかなか興味を引き続けるのが難しかったです。一番下の子供は、
正しさとは何なのかに敏感なので、この本はぴったりだったんだろうなと思います。

シリーズになっており、『ライオンと魔女』から『さいごの戦い』まで全7巻

宗教色の強い物語として、敬遠される方もいるようですが、普遍的な話だと思います。なにより瀬田さんの訳がすばらしく、物語をより一層素晴らしいものにしてくれています。
ただ、子供への読み聞かせは、最終巻が感受性の強い子には衝撃的。。。読んであげるのは、1,2巻くらいまでで、成長してから自分で後は読んでもらったほうがいいかも。

1巻はよく紹介されるので、2巻の中の一説をご紹介します。

『カスピアン王子のつのぶえ』

ナルニア国物語の第2巻。お話の中では、現実の世界とナルニア国という異世界があり、
ナルニア国の動物たちは、人間と同じように話をし考え、生活をしています。
ところが、ナルニアの動物たちが人間に迫害される辛い時期があり、迫害を恐れて、口をきくことを長い間辞めてしまう動物たちがあらわれました。その動物たちは、自分が口を聞けるということを忘れ、ついには、野生にとりこまれ、今まで人間と話ができた動物が野生の動物のように、声をかけても話をすることができず、人間を襲うものまで出てきました。それに出会った、四番目のルーシィ―が恐ろしい考えが浮かんだといって、こういいます。

「もし、いつか、私たちのあの世界でよ、人間の心のなかがすさんでいって、あのクマのようになっても、うわべが人間のままでいたら、そしたら、ほんとの人間か、けものの人間か、区別つかないでしょ?」

このシーンが私には、印象的でした。あの世界とは、ファンタジーではない現実の世界の事です。ナルニアは、人間に攻め入られて、不遇の時代を過ごします。その間に、このように動物は分裂してしまったのです。権力に抑え込まれるものと、抑え込まれながらも自分を失わないもの。現代、そのようなことが人間の中で起きないように願わずにはいられませんでした。
様々な場所で意見の衝突があるように思います。そんな時、お互いの意見があまりにも違いすぎて話にならない状況が生まれ、まるで言語がわかれてしまったような感覚になる時があります。

そんなとき、あの人は自分の言ってることをわかってくれない。とか自分を馬鹿にしていると思わないで欲しい。分かり合えないときもあるかもしれませんが、今は意見が合わずに別々にいたとしても、本当に困った時、お互い力を合わせて協力できるような関係で繋がっていたい。そう思えれば、次につながると思うのです。

第一巻で、4人の子供たちを預かっている教授は、素敵なことを4人に教えてくれます。
子供たちは、最初ナルニアへ一人で行ったルーシーが語る異世界の話を信じません。エドマンドという弟は、ルーシーと一緒にナルニアに行きますが、それは嘘だと嘘をつきます。それを聞いた上の二人が、今まで正直だったのに嘘をつくようになったルーシーを心配して、自分たちを預かってくれている不思議な教授に相談をします。

すると論理的に考えろと教えてくれます。彼女は嘘つきではないのであれば、たとえ、タンスの中に森があっても、そこでフォーンにあったといっても、それが嘘ということは言えない。と。

そして、最後に「他の人のじゃまをしないようにすること」といいます。

また、この本では一番小さな子が正解を知っています。普通では信じられないけど、自分の信じることを主張することによって周りを導いていきます。また、問題児と言われる子がよきものに成長していきます。

子供たちは、毎日大人の言うわけのわからない理論と自分の信じることの間に置かれています。子供の感覚を大切にしたいけど、そう行かないときもあると思います。そんな時に、
あなたの感覚大切だよということをこの本を読んで感じてもらいたい。

また、ぜひ大人の方にも読んで欲しいです。正解は必ず自分の中にあるのだということを、社会に生きていると忘れて行ってしまいがちだなと思うからです。



日本ホメオパシーセンター京都京田辺 結恩