感覚を聴く

私の相談会は、ホメオパスの中で、かなり特殊です。
その最も大きな理由は、感覚を聴くようにしているからです。

レメディを選ぶのに、感覚ということを重視しています。その点は同じホメオパスいるかもしれません。でも、その感覚のとらえ方がちがいます。

例えば、火が燃えています。それに近づくと、熱く感じます。それが感覚です。

この感覚、みんな同じだと思っている方が多いですが、実は、人によって違います。
「熱い」という言葉を使わずに、その感覚を表現してくださいというと、
ひりひりする感じという人もいれば、切られる感じと表現する人もいるかもしれません。まぶしいという人もいます。燃えるようという人もいれば、冷や水をかけられたようという人もいます。

つまり、火に手を近づけたとき、その感覚は、人によって違うのです。
それを各自が勝手に熱いと同じ言葉で認識しているのです。

なので、認識を共有することはできますが、感覚を共有することは難しいです。
これが、一つ目の感覚の誤解です。
【感覚は人によって違う】

たとえば、同じものを食べても、おいしいと思う人とまずいとおもう人もいますよね。このように人によって感覚は違います。こう説明されると、感覚が違うということは理解してもらえると思います。

すると、二つ目の誤解も理解してもらえると思います。
【言葉で感覚を共有できない】
それぞれ、感覚が違います。それにそれぞれ言葉を勝手につけています。
火に近づいた時の感覚を熱いと認定しているのが言葉です。だけど、その感覚は人によって違うので、熱い=この感覚ということは言えないのです。人の数だけ、熱い時の感覚があります。これが、二つ目の誤解です。

なので、感覚を言葉で伝えることはできません。感覚についている言葉は、単なる「ラベル」でしかありません。外にわかりやすいように貼ってあるものです。でも中身はその人独特のものです。一言で言い表せるものではないのです。
言葉以外の方法で、その人の言ってる熱いがどういうことなのか、を探る必要があります。

『言葉で共有できない感覚を共有する』
これが私の相談会の特徴になります。それは、言葉でない部分から聴くことになります。


セッションに、ひざが痛いのですと言って、来られた方に私は、
「どう痛いのですか?」と訊きます。

答えるほうは、「そんなの、ひざが痛いっていってるだろう!」となるのですが、

その痛さは人によって百人いたら百通りです。
ずきずきなのかひりひりなのか、ぴりっとなのかじんわりなのか。
そしてさらに、その感覚について訊いていきます。

ずきずきときいて、勝手に自分の知っているずきずきだと思ってはいけません。

脈動が動いているようだとかまぐまのようだとか、規則的なドラムの音のようだとか様々な感覚があります。
さらに、それが、どんな感覚か訊いていきます。それをどれくらい繰り返すかは、人によってちがうのですが、症状に貼ったラベルについて訊いているのではないと気づき、必ず、自分の内側にきき始めてくれます。答えは外にはないです。そして、その感覚はみることもできません。触れることだけできます。そして、唯一その人だけが感じることができるものなのです。

それを理解するため私は、その人の話し方全身の様子をよく見ています。言葉ではない、なにかでその人は全力で伝えようとしてくれます。それをなんとか受け取る。その出し方も百人いたら百通りです。全身全霊で聴きます。その人から発せられるものを一つも逃さないようにしています。

それが私のセッションです。

相談に来てくださった方は、まず、その内側の感覚を探すところから始まるときもあります。自分の感覚より他人を優先されていたり、外側にとらわれる方はなかなか、その感覚をつかむことができません。そして、それがわかっても、表現すことがいままでなかったので、出すという作業で、かなり消耗されます。ブラックボックスに入っているものを、中身を知らない人へ伝えるようなものです。難しく、へとへとになって、毎回疲れる~と言われる方も多いです。

だけど、自分の内側の感覚をいつも感じていて、自然とその感覚を伝えてくれる方もいます。そのような場合、言葉でしゃべるより楽にコミュニケーションできることもあります。

言葉では伝わりません。伝えることもできません。
それが、感覚です。


なぜ、ここまで大変な思いをしてまで、感覚をレメディ選びの指標にしているかというと、
内側の感覚というのは、その人自身だからです。
それどころか、感覚だけがその人だとも思います。

そして、レメディの説明書である、マテリアメディカも感覚からできています。


感覚がその人自身だというのは、外からの影響を受けないからです。
他のことには、どうしても意識が働き本来の自分を出せないこともあると思います。
だけど、感覚については、良い悪いがないので。(びりびりした感覚だと恥ずかしいとかないですよね)そのような意識を働かせることもありません。思ったことをストレートに言ってくれます。

また、内側の感覚を変えることは自分にも他人にもできません。熱いとはこういうことだよと大人に教わったとしても、そのときの感覚を変えることは決してできないのです。なので、本当のその人というのが感覚に出るのだと思います。

よって、その人と似たレメディを選ぶという行為は、その人本来の感覚を聴くということが、一番の近道になるのです。






日本ホメオパシーセンター京都京田辺 結恩